2017年06月01日

カンヌで永瀬が男泣き。映画「光」で河瀬直美監督がキャストに求め、描いたものとは。

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に
正式出品され、エキュメニカル審査員賞を
河瀬直美監督が日本人女性監督として
初めて受賞したことで話題の映画「光」。
「お見事」の一言に尽きる作品を抉る。

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「バリアフリー映画」を知る

日本ではカンヌでの上映直後から約10分間鳴り止まない
スタンディングオベーションに、主演の永瀬正敏が
男泣きしたことがワイドショーなどで取り上げられ、
この作品への注目度は上がった。

弱視が進行している天才カメラマン・中森(永瀬)が、バリアフリー映画の
モニター会で音声ガイドを作成するライター尾崎(水崎綾女)と出会い、
衝突を繰り返しながら、理解を深めていくラブストーリー。

この映画を通じて、「バリアフリー映画」を認識した人もいるだろう。
私自身がそうだった。
「映像を見ずとも映画は楽しめる」
そういう世界があることを認識させられた映画だ。


弱視を演じる永瀬たち役者のリアルさが凄い

河瀬監督は、「役を生きる」ことを役者に求める。
永瀬自身も、中森役を生きるために、実際に弱視ゴーグルを装着し、
劇中に登場する中森の家に住んでいたという。
弱視ゴーグルをつけて見える世界について、永瀬は、
「うっすらとはわかるけど、どこにピントが合うかわからない。
右の上の方の一定の光しか見えない。」と視界を説明した。

永瀬以外の役者たちの演技はリアルで、こういう作業を繰り返すことで
目の不自由な人たちと共に映画を楽しめるようになってきていることを
改めて知ることになる。
そして、音声ガイドを作成する作業は、作品をひとつ作り上げるのと
同じくらいに身を削るたいへんな作業だと感じる。

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ラストのガイドには圧巻【ネタバレ注意】

オープニングから「音声ガイド」をフックとしてストーリーは進む。
眼に映る日常の様子を言語化することでガイドの言葉を紡ぎ出すライター。
目が見えるライターと目が不自由なモニターのやりとりが
とにかくリアルだ。演技とは到底思えない。

映画の中に、目の不自由な人たちは、音声ガイドを聞くことで、
映画を観るのではなく、時として映画の中に入っていくと語るシーンがある。
想像力を膨らませて、自分の世界を映画の世界にまで広げるのだという。
そして、映画で人生を繋いでいくのだという。

映画の中で音声ガイドをつける作品のラストシーンの言葉が
この映画のキモと言える。
ラストの言葉に対してモニター会では幾度となく、衝突が起こる。
見える人と見えない人の違いの他に、映画作品の感じ方の違いもある。
様々なことを落とし込み、削ぎ落とすことで音声ガイドは完成していく。

天才カメラマンの中森は、心臓と同じ存在のカメラを投げ捨て、
自分の目には光が見えないことを受け入れた。
「光」を操る天才カメラマンが、一番大切なものを捨てることで、
新しい生き方を探し出した瞬間に感じた。
その傍らには、衝突ばかりだが惹かれ合う存在の尾崎がいた。
夕陽を背景に2人が見つめ合うシーンの映像の美しさは、
せつなさがこみ上げ、涙が溢れてしまった。

SFやコメディとは違い、淡々とストーリーは進んでいくが、
ラストの「音声ガイド」を聞いた時、すべてが落ちる。
その瞬間、カンヌの観客と同じ感情を抱くだろう。
その時、カンヌの世界に連れていかれているのかもしれない。

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posted by matsuko at 16:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする